【完全解説】半導体EMC試験が必要になるのはどんなとき? PCN・EOL対応のコスト削減方法も紹介

車載部品メーカーにとって、半導体の「PCN(製品変更通知)」や「EOL(生産終了)」への対応は大きな課題の一つです。特に同一の半導体が複数の製品に採用されているケースでは、製品ごとにEMC試験を実施する必要がありますので、多大な時間とコストが発生しているのではないでしょうか。

そこで今回は、PCNやEOLの対応として注目されている「半導体EMC試験」について、半導体EMCに強い試験サイト、デンケン中部センターの杉浦さんに詳しく教えていただきました。

この記事でわかること
・PCNとEOLって何?
・半導体EMC試験で対応コストを削減できる理由
・PCN/EOL対応以外にも広がるニーズ
・半導体EMC試験にデンケン中部センターをおすすめする理由

PCNとEOLって何ですか?

最初に、PCNとEOLについて整理しておきましょう。

PCN(Product Change Notification)は、半導体メーカーが製品の設計変更を行う際に発行する「製品変更通知」のことです。半導体の製造プロセスや材料、仕様などが変更される場合に発行されます。

一方EOL(End of Life)は「製品寿命終了」のことで、半導体の生産を中止する際に発行される通知です。EOLが発行されると、その半導体は今後製造されなくなりますので、代替品への切り替えが必要になります。

半導体は日々進化しているので、半導体メーカーも進化に対応しながら改善を続けているため、PCNやEOLは随時発生してきます。しかしPCNやEOLが発行されると、車載部品メーカーは対象の半導体を搭載している車載部品の全てについて、EMCの再評価を行う必要が出てきます。しかも1つの半導体が複数の製品に使われているケースも多いため、製品ごとにEMC試験をやり直すと膨大な時間とコストがかかることが負担になっているのも事実です。

そこで近年注目を集めているのが「半導体EMC試験」です。半導体EMC試験では、PCNやEOLの対象となった半導体を対象に、半導体単体で評価を行います。

半導体EMC試験なら、コストと時間を削減できる

PCNやEOL対応に半導体EMC試験が有効な理由を見ていきましょう。前提として、一般的に車載EMCでは1部品に対して10種類の試験を実施しますが、半導体EMCでは3つの試験で必要な範囲をカバーすることができます。そこで、たとえば一つの半導体が10個の車載部品に採用されているケースでの対応を考えてみましょう。

・車載EMCの場合:10製品×10試験=100回の試験が必要になる

・半導体EMCの場合:半導体1個×3試験=3回で済む

つまり、このケースでは試験回数を97%削減でき、EMC試験にかかるコストと時間の大幅な削減になることがわかります。むしろ半導体EMCの規格は「全ての試験をやり直さなくてもいいように」という目的で検討されてきた、という流れでもあるのです。

広がる半導体EMC試験の用途

半導体EMC試験の用途は、最近はPCN/EOLの対応以外にも広がっています。特に半導体メーカーや半導体商社において、製品の実力評価を目的とした試験ニーズが増加しています。

たとえば半導体メーカーでは、開発中の新製品と既存品との性能比較や、競合他社製品との比較評価に半導体EMC試験が活用されています。また、複数メーカーの半導体を取り扱う商社では、各社の製品の性能評価や比較検証にも有効です。

半導体EMC試験ができる試験場はまだ少ない

ただし、半導体EMC試験を実施できる試験場は現状でそれほど多くはありません。その背景には、試験サイトとして半導体EMC試験を実施する難しさがあると考えられます。

[半導体EMCを試験サイトとして実施する難しさ]

・半導体に関する専門的な知見が必要
……試験の検討、評価用基板の設計製作、試験の実施から判定まで、半導体の知見がないとできない部分が多い

・評価用基板の製作が求められる
……試験には半導体を評価するための評価用基板が必要になることが多いが、一般のEMC試験サイトでは評価用基板の作成サービスを実施していない。お客様が社内で基板を作れる場合は良いが、できない場合はサイト側に評価用基板を設計製作できる技術力が求められる

・車載業界で標準化されて間もない新分野である
……半導体EMCは2020年以降に車載部品業界で標準化されて普及したばかりの新しい分野であるため、知見がある会社が少ない

このような状況から、半導体EMCのメリットを活かせていないユーザーがまだまだ多いのが現状です。

その点、私たちデンケンは1985年からの半導体関連事業に取り組み、幅広く実績を積上げてきました。半導体の後工程製造、組立、解析サービスなど、幅広い半導体関連業務を手がけてきた経験から、現在では国内全ての半導体メーカーとの取引実績があります。

これらの知見を活かし、半導体EMC試験においては評価用基板の設計製作から試験、判定まで一貫した対応が可能です。また、お客様のニーズに応じて、評価基板の設計のみ、あるいは試験のみといった個別対応も実施しています。

まとめ

この記事では「半導体EMC試験が必要になるのはどんなとき?」と題して、PCNやEOLの対応や、製品の実力評価に使える半導体EMC試験についてご紹介してきました。

この記事で紹介したこと
・PCNとEOLの説明 ・半導体EMC試験で対応コストを削減できる理由
・PCN/EOL対応以外にも広がるニーズ
・半導体EMC試験にデンケン中部センターをおすすめする理由

特に1つの半導体が複数の製品で採用されている場合のPCN/EOLでは、製品単位の試験と比べて大幅な時間とコストの削減が可能になります。

デンケンは車載EMCと半導体EMCの両方の試験認定を持つ数少ない試験場として、皆様の信頼できるパートナーを目指しています。愛知県でEMC試験場をお探しの場合は、デンケン中部センターにご相談いただければ幸いです。

デンケン中部センター 試験日程表
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電話 0566-95-2170

メール https://www.dkn.co.jp/contact/ 

教えてくれた人

デンケン中部センター 杉浦 貴紀   デンケン中部センターで営業担当をしている杉浦です。このブログでは当サイトでの試験情報についてご紹介していきますのでよろしくお願いします。

この記事を書いた人

ものづくりライター 新開 潤子   製造業専門で執筆活動を行う「ものづくりライター」。ものづくりについて広く知識を持ち、ものづくり技術を言葉で表現して伝える活動を、愛知県を拠点に展開中。   https://office-kiitos.biz/

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