初めての半導体EMC試験、事前に確認しておきたいポイント5選
愛知県刈谷市にあるEMC試験サイト・デンケン中部センターは、半導体EMC試験に強い試験場として高い評価を受けています。
半導体EMC試験は、電機機器に搭載される半導体デバイスを個別にテストする試験です。半導体製品のPCN(製品変更通知)やEOL(生産停止)が発生した場合、従来の車載EMC試験では、全ての車載部品のEMC試験をやり直す必要がありますが、半導体EMCであれば、PCNが発生した半導体だけを検査できるため、試験の対象部品数や試験時間を大幅に削減できるメリットがあります。
ただし、車載EMC試験とは異なる準備が必要になるため、初めて半導体EMC試験をする場合、準備の手間と時間が想像以上にかかってお困りの方が多いようです。
そこで今回の記事ではデンケン中部センター 営業の杉浦さんに「初めての半導体EMC試験、事前に確認しておきたいポイント」を整理していただきました。準備の時間短縮にぜひご活用ください。
【この記事でわかること】
初めての半導体EMC試験、事前に確認しておきたい5つのポイント
1.サンプルのデータシートを準備する
2.評価対象端子を決める
3.評価基板に関する確認事項
4.誤動作の定義と判定基準を整理する
5.必要な評価結果・レポートの形を検討する
1.サンプルのデータシートを準備する
最初のステップは、PCN対象のICと、置き換え予定のIC、2つのデータシートの準備です。この情報がないと製品情報がわからないため、「どのように試験を実施するか」という検討を進めることができません。もし置き換え予定のICのデータシートがまだ届いていない場合は、その旨をお知らせいただければ大丈夫です。
2.評価対象端子を決める
次のステップは、評価対象端子を決めることです。
評価対象端子の選定では、最初にグローバル端子(*1)とローカル端子(*2)の選別をお願いします。そのうえで、評価する端子の選定については、基本的にはエンドユーザー様に事前確認をしていただく必要があります。
ただ、この写真のように端子数が多い半導体製品で全ての端子を評価すると、膨大な試験時間がかかります。そのためJEITA ED-5008(4.4.4)では、代表端子で等価性を評価し、他の端子評価を省略するなど、評価端子を省略する際の考え方が記載されています。
例えばグローバル端子は『必須』/ローカル端子は『任意』とするケースもありますし、同機能の端子が複数あるケースでは、代表端子で等価性を評価して他の端子評価を省略するなどの対応も可能です。デンケンではJEITA ED-5008(4.4.4)に基づいた評価端子省略のアドバイスができますので、サポートが必要な場合はご相談ください。
なお、評価対象端子が決まらないと試験の工数を算出できないため、試験計画や見積を進めることができません。事前にユーザー様にご相談いただくようお願いいたします。
*1 )グローバル端子…IC端子のうち、外部のI/Fとして使用する端子
*2 )ローカル端子…IC端子の内基板内の配線に使用する端子
3.評価基板に関する確認事項
半導体のEMC性能を評価するためには、基本的には半導体を実装するための基板を用意する必要があります。
3つめのステップでは、その評価用基板をお客様にご用意いただくか、デンケンに製作をご依頼いただくかを確認させていただきます。
ご依頼いただく場合に必要な情報は次の通りです。
①1.で確認したデータシート
②2.で確認した評価対象端子
この2点がわかればデンケンで評価用基板を設計製作できますので、必要に応じてご依頼ください。
評価用基板の設計製作には、納期が3週間~1か月程度かかりますのでご了承ください。
4.誤動作の定義と判定基準を決める
4番目のステップは「どんなときに誤動作と判定するか」という判定基準の検討です。
誤動作について、JEITA ED-5008 (6.4.2)では「所望の動作もしくは特性を維持できなくなった状態を誤動作と定義し、評価を行う」と定義されています。これに基づき「所望の動作もしくは特性を維持できなくなった状態」がどこからなのか、判定基準を設定する必要があります。
誤動作の判定基準については、次の2要素を考慮して設定するのが一般的です。
- 車載部品でのICの使われ方
- データシート上のICの仕様
部品上でのICの使われ方については、基本的には車載部品メーカー様に事前確認していただく必要があります。また、データシート上のICの仕様に基づく判定基準については、半導体メーカー様にご相談いただければと思います。
ただし検討した判定基準と実測が異なることもあるので、デンケンでは本試験の前に味見試験を行って、判定基準をチューニングするお手伝いもしています。状況に応じてご相談ください。
5.評価結果・レポートについて
デンケン中部センターでは、試験後に測定結果の生データをお渡ししています。また、ご要望に応じて、以下の項目で評価レポートの提出も可能です。
・製品概要
・評価環境の構成
・評価基板回路
・評価半導体の動作(プログラム)
・評価内容、評価結果
評価レポートをご希望の場合は、見積時にご相談ください。
なお、デンケンではJASO D019「自動車用半導体EMC性能等価性試験法」に基づき、自動車用半導体の等価性判断に活用いただける評価結果を数値でお渡ししています。試験サイトという性質上、当社において等価性の判断をすることはできませんので、等価性の判断についてはユーザー様にご依頼をお願いいたします。
まとめ
この記事では、初めての半導体EMC試験、事前に確認しておきたい5つのポイントを整理してお伝えしました。
【初めての半導体EMC試験、事前に確認しておきたいポイント】
1.サンプルのデータシートを準備する
2.評価対象端子を決める
3.評価基板に関する確認事項
4.誤動作の定義と判定基準を整理する
5.必要な評価結果・レポートの形を検討する
この5項目の事前確認で、半導体EMC試験の準備をスムーズに進めていただけることと思います。準備時間の短縮にご活用いただけたら幸いです。
デンケン中部センターでのEMC試験は、オンラインで空き状況を確認でき、2回目からはオンライン予約も可能になっています。愛知県でEMC試験サイトをお探しの場合は、デンケン中部センターをご検討ください。
デンケンEMC試験所 試験日程表
https://dkn-emc.jp/top
※2回目以降はオンライン予約も可能です
お問い合わせ・ご予約
電話 0566-95-2170
メール https://emc-dkn.com/contact/
教えてくれた人
デンケン中部センター 杉浦 貴紀 デンケン中部センターで営業担当をしている杉浦です。このブログでは当サイトでの試験情報についてご紹介していきますのでよろしくお願いします。
この記事を書いた人
ものづくりライター 新開 潤子 製造業専門で執筆活動を行う「ものづくりライター」。ものづくりについて広く知識を持ち、ものづくり技術を言葉で表現して伝える活動を、愛知県を拠点に展開中。 https://office-kiitos.biz/
愛知県刈谷市にあるEMC試験サイト・デンケン中部センターは、半導体EMC試験に強い試験場として高い評価を受けています。
半導体EMC試験は、電機機器に搭載される半導体デバイスを個別にテストする試験です。半導体製品のPCN(製品変更通知)やEOL(生産停止)が発生した場合、従来の車載EMC試験では、全ての車載部品のEMC試験をやり直す必要がありますが、半導体EMCであれば、PCNが発生した半導体だけを検査できるため、試験の対象部品数や試験時間を大幅に削減できるメリットがあります。
ただし、車載EMC試験とは異なる準備が必要になるため、初めて半導体EMC試験をする場合、準備の手間と時間が想像以上にかかってお困りの方が多いようです。
そこで今回の記事ではデンケン中部センター 営業の杉浦さんに「初めての半導体EMC試験、事前に確認しておきたいポイント」を整理していただきました。準備の時間短縮にぜひご活用ください。
【この記事でわかること】 初めての半導体EMC試験、事前に確認しておきたい5つのポイント 1.サンプルのデータシートを準備する 2.評価対象端子を決める 3.評価基板に関する確認事項 4.誤動作の定義と判定基準を整理する 5.必要な評価結果・レポートの形を検討する |
1.サンプルのデータシートを準備する
最初のステップは、PCN対象のICと、置き換え予定のIC、2つのデータシートの準備です。この情報がないと製品情報がわからないため、「どのように試験を実施するか」という検討を進めることができません。もし置き換え予定のICのデータシートがまだ届いていない場合は、その旨をお知らせいただければ大丈夫です。
2.評価対象端子を決める
次のステップは、評価対象端子を決めることです。
評価対象端子の選定では、最初にグローバル端子(*1)とローカル端子(*2)の選別をお願いします。そのうえで、評価する端子の選定については、基本的にはエンドユーザー様に事前確認をしていただく必要があります。
ただ、この写真のように端子数が多い半導体製品で全ての端子を評価すると、膨大な試験時間がかかります。そのためJEITA ED-5008(4.4.4)では、代表端子で等価性を評価し、他の端子評価を省略するなど、評価端子を省略する際の考え方が記載されています。
例えばグローバル端子は『必須』/ローカル端子は『任意』とするケースもありますし、同機能の端子が複数あるケースでは、代表端子で等価性を評価して他の端子評価を省略するなどの対応も可能です。デンケンではJEITA ED-5008(4.4.4)に基づいた評価端子省略のアドバイスができますので、サポートが必要な場合はご相談ください。
なお、評価対象端子が決まらないと試験の工数を算出できないため、試験計画や見積を進めることができません。事前にユーザー様にご相談いただくようお願いいたします。
*1 )グローバル端子…IC端子のうち、外部のI/Fとして使用する端子
*2 )ローカル端子…IC端子の内基板内の配線に使用する端子
3.評価基板に関する確認事項
半導体のEMC性能を評価するためには、基本的には半導体を実装するための基板を用意する必要があります。 3つめのステップでは、その評価用基板をお客様にご用意いただくか、デンケンに製作をご依頼いただくかを確認させていただきます。 ご依頼いただく場合に必要な情報は次の通りです。 ①1.で確認したデータシート ②2.で確認した評価対象端子 この2点がわかればデンケンで評価用基板を設計製作できますので、必要に応じてご依頼ください。 評価用基板の設計製作には、納期が3週間~1か月程度かかりますのでご了承ください。 |
4.誤動作の定義と判定基準を決める
4番目のステップは「どんなときに誤動作と判定するか」という判定基準の検討です。
誤動作について、JEITA ED-5008 (6.4.2)では「所望の動作もしくは特性を維持できなくなった状態を誤動作と定義し、評価を行う」と定義されています。これに基づき「所望の動作もしくは特性を維持できなくなった状態」がどこからなのか、判定基準を設定する必要があります。
誤動作の判定基準については、次の2要素を考慮して設定するのが一般的です。
- 車載部品でのICの使われ方
- データシート上のICの仕様
部品上でのICの使われ方については、基本的には車載部品メーカー様に事前確認していただく必要があります。また、データシート上のICの仕様に基づく判定基準については、半導体メーカー様にご相談いただければと思います。
ただし検討した判定基準と実測が異なることもあるので、デンケンでは本試験の前に味見試験を行って、判定基準をチューニングするお手伝いもしています。状況に応じてご相談ください。
5.評価結果・レポートについて
デンケン中部センターでは、試験後に測定結果の生データをお渡ししています。また、ご要望に応じて、以下の項目で評価レポートの提出も可能です。
・製品概要
・評価環境の構成
・評価基板回路
・評価半導体の動作(プログラム)
・評価内容、評価結果
評価レポートをご希望の場合は、見積時にご相談ください。
なお、デンケンではJASO D019「自動車用半導体EMC性能等価性試験法」に基づき、自動車用半導体の等価性判断に活用いただける評価結果を数値でお渡ししています。試験サイトという性質上、当社において等価性の判断をすることはできませんので、等価性の判断についてはユーザー様にご依頼をお願いいたします。
まとめ
この記事では、初めての半導体EMC試験、事前に確認しておきたい5つのポイントを整理してお伝えしました。
【初めての半導体EMC試験、事前に確認しておきたいポイント】 1.サンプルのデータシートを準備する 2.評価対象端子を決める 3.評価基板に関する確認事項 4.誤動作の定義と判定基準を整理する 5.必要な評価結果・レポートの形を検討する |
この5項目の事前確認で、半導体EMC試験の準備をスムーズに進めていただけることと思います。準備時間の短縮にご活用いただけたら幸いです。
デンケン中部センターでのEMC試験は、オンラインで空き状況を確認でき、2回目からはオンライン予約も可能になっています。愛知県でEMC試験サイトをお探しの場合は、デンケン中部センターをご検討ください。
デンケンEMC試験所 試験日程表
https://dkn-emc.jp/top
※2回目以降はオンライン予約も可能です
お問い合わせ・ご予約
電話 0566-95-2170
メール https://emc-dkn.com/contact/
教えてくれた人
デンケン中部センター 杉浦 貴紀 デンケン中部センターで営業担当をしている杉浦です。このブログでは当サイトでの試験情報についてご紹介していきますのでよろしくお願いします。 |
この記事を書いた人
ものづくりライター 新開 潤子 製造業専門で執筆活動を行う「ものづくりライター」。ものづくりについて広く知識を持ち、ものづくり技術を言葉で表現して伝える活動を、愛知県を拠点に展開中。 https://office-kiitos.biz/ |