EMC試験室の特徴と用途を詳しくご紹介します|デンケン中部センター

電子部品に対する電磁波の影響を確認する「EMC試験」については、外部からの電磁波の影響を受けない特別な環境で行う必要があります。その「外部の電磁波の影響を受けない特別な環境」というのはどんな場所なのでしょうか?

今回は愛知県刈谷市にあるIEC、ISO17025認定試験場「デンケン中部センター」の試験室について、営業の杉浦さんに詳しくお話を伺いました。

【この記事でわかること】
・デンケン中部センターにある試験室の紹介
・電波暗室とは
・簡易電波暗室とは
・シールドルームとは
・グランドプレーン(GP)室とは

デンケン中部センターのEMC試験室は4種類8室

愛知県刈谷市にあるデンケン中部事センターには、4種類8室の試験室があります。電波暗室が2室、簡易電波暗室が1室、シールドルームが4室、グランドプレーン(GP)室が1室です。それぞれの特徴と用途を見ていきましょう。

電波暗室:2室

デンケン中部センターには2室の電波暗室があります。
室内のノイズが外に出ない構造になっており、電波暗室は外部の電磁波を完全に遮断し、室内での電磁波を正確に測定するための測定室です。

電波暗室(2室)

【特徴

  • シールド材と電波吸収体で囲まれている:これにより、外部からのノイズを完全に遮断し、室内での正確な測定が可能です。
  • イミュニティ試験とエミッション試験が可能:電子機器が他の機器に与える影響(エミッション)と、他の機器から受ける影響(イミュニティ)の両方の試験を実施できます。

使い分け】

主にエミッション試験とイミュニティ試験の両方が求められる車載EMC試験にご利用いただくことが多い試験室です。

付帯設備

電波暗室の隣には「計測室」があり、電波暗室の外からパソコンを操作して、ノイズを出したり止めたり、測ったりできるようになっています。計測室ではお客様の試験立会も可能です。また、人が入ることはありませんが、測定器の増幅装置が隣接の「アンプ室」に設置されています。

簡易電波暗室:1室

簡易電波暗室は、電波暗室から電波吸収体を除いた構成の試験室です。
電波吸収体がない分だけ、電波暗室よりもシールド性能が若干低くなっています。

簡易電波暗室(1室)

特徴】

  • 電波暗室よりもシールド性能は低い:電波吸収体がないため、完全なノイズ遮断はできませんが、比較的低コストでの試験が可能です。

使い分け】

  • イミュニティ試験中心:シールド性能がそんなに高くないため、外部からの電磁波の影響を確認するイミュニティ試験など、シールド性能を問わない試験で活用されています。

シールドルーム:4室

デンケン中部センターには4室のシールドルームがあり、主に車載用と半導体用、2つの用途で使われています。  
シールドルーム(4室)

特徴】

  • 厚い鉄板で覆われている:厚い鉄板により外部の電磁波をある程度遮断しますが、電波暗室ほどの遮断性能はありません。そのため、外部からのノイズの影響をあまり気にする必要がないイミュニティ試験中心で利用いただくことが多い部屋です。

【使い分け

  • 1部屋は車載用:自動車に搭載する電子機器のEMC試験専用の試験室があります。この部屋の机上には、グランドプレーン(銅板)を設置しています。
  • 3部屋は半導体用:3部屋は半導体EMC用として利用されていいます。

グランドプレーン(GP)室:1室

グランドプレーン室の壁は電波吸収体や鉄板で覆われておらず、部屋がシールドされていないため、普通の事務所のような試験室です。
試験テーブルにはグランドプレーンが設置されており、民生系の試験や、過渡サージ試験などにご利用いただくことが多い状況です。  

グランドプレーン室(1室)

特徴】

  • シールドされていない:外部からの電磁波を遮断するためのシールド材や鉄板がありません。一般的なオフィス環境に似た部屋です。
  • グランドプレーンを設置:試験テーブルにグランドプレーンが設置されており、民生系や過渡サージ試験などにご利用いただけます。

【使い分け】

  • 民生系の試験:一般消費者向けの電子機器の試験に使用されます。
  • 過渡、サージ試験:電源の瞬間的な変動やサージ(過電圧)の影響を評価する試験に使用されます。

その他、計測室にははんだスペースがあり、試験現場での調整作業などにご利用いただくことができます。また休憩室、喫煙コーナーもありますので、試験立会の際には快適な環境で過ごしていただけるようにご用意しています。

まとめ

この記事では、愛知県刈谷市のEMC試験サイト「デンケン中部センター」の杉浦さんに、EMC試験で使用する8つの試験室と、各試験室で実施できる試験についてご紹介いただきました。

ご紹介した試験室の用途に応じた使い分けについては、お問い合わせの際にご相談いただければ、最適な構成を担当よりお伝えいたします。

デンケン中部センターでは、EMC試験の空き状況をオンラインで確認でき、電話予約も可能です。EMC試験が必要な際はぜひご活用ください。

デンケンEMC試験所 試験日程表
https://dkn-emc.jp/top
※2回目以降はオンライン予約も可能です

お問い合わせ・ご予約

電話  : 0566-95-2170

メール : https://emc-dkn.com/contact/

教えてくれた人

デンケン中部センター 杉浦 貴紀   デンケン中部センターで営業担当をしている杉浦です。このブログでは当サイトでの試験情報についてご紹介していきますのでよろしくお願いします。

この記事を書いた人

ものづくりライター 新開 潤子   製造業専門で執筆活動を行う「ものづくりライター」。ものづくりについて広く知識を持ち、ものづくり技術を言葉で表現して伝える活動を、愛知県を拠点に展開中。   https://office-kiitos.biz/