今回は、半導体EMC等価性の評価事例の紹介【前編】で解説した中から評価基板について、基板の必要性や種類を解説いたします。
1 評価基板の必要性 2 評価基板の種類 3 評価基板の参考例 4 まとめ |
評価基板の必要性
半導体のEMC性能を評価するにあたり、半導体を実装するための基板を用意する必要があります。
この評価基板の回路は半導体のデータシートに記載されている推奨回路とし、評価対象端子は所定のインピーダンスに整合させる必要があります。
この条件を厳密に満足した基板を用意することで測定の精度・再現性が確保できますが、現実的には、半導体のEMC特性そのもの(絶対値)を評価したいのか、EMC性能の等価性(相対値)を評価したいのか、評価対象の周波数範囲に応じた評価基板を設計することになります。
▲参考評価基板・回路
評価基板の種類
半導体EMC試験にはDPI法(イミュニティ試験)と150Ω法(エミッション試験)があります。また、これらの試験法で使用する基板にはパターンが3つあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
1.専用基板
DPI法、150Ω法それぞれの各専用基板を準備する
メリット | 高周波帯まで精度よく評価が可能 |
デメリット | 2種類の基板を用意する必要があり、それぞれの基板準備費用が必要 |
2.共用基板
両方を評価できる共用基板を準備
メリット | 各専用基板の作成より費用が安価になる |
デメリット | 評価用配線を共有し、部品の有無によりそれぞれの評価を行うのでこの影響により、高周波帯で特性低下が生じることがある |
3.評価用でない基板
評価用でない基板を活用する
メリット | 他評価の基板を流用する事で早期に・安価に評価できる |
デメリット | 基板の特性に左右された評価となる |
※こちらの方法はあまり実施する事はなく、稀なケースになります
基板の種類一覧
基板の種類 | 精度 | 費用 | 期間 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
専用基板 | ◎ | △ | ○ | 高周波まで測定精度が高い |
共用基板 | ○ | ○ | ○ | 測定精度を確保しつつ評価費用も抑えることができる |
評価用でない基板 | △ | ◎ | ◎ | 緊急的評価に対応可 |
評価基板の参考例
前項で説明した3パターンの基板例をご紹介します。
●専用基板の例
必要な回路のみの基板となります。測定精度を高めるため、試験方法専用の評価基板を作成して評価することを推奨しています。
<DPI法実施時>
▲DPI法で必要な回路のみ
<150Ω法実施時>
▲150Ω法で必要な回路のみ
●共用基板にした例
DPI法評価時には150Ω法評価に必要な部品を取り外し、150Ω法評価時には必要部品を取り付ける事で、両試験法を一つの基板で対応します。しかし、部品実装部により評価用配線部の伝搬特性が低下し、高周波帯での評価に影響がでます。
DPI法評価時:120Ω,6.8nをショート、51ΩはオープンでEMS測定ポートで評価
150Ω法評価時:必要部品有りでEMI測定ポートで評価
●評価でない基板を活用した例
不要な周辺部品があり評価結果に影響する可能性がありますが、等価性評価という意味で比較をすることは可能となります。
まとめ
今回は半導体EMC試験における評価基板についてご紹介しました。
1. 評価基板の必要性
半導体単体の評価を行うために評価基板を作成しており、目的に応じて評価基板を設計・作成する必要がある
2. 評価基板の種類
DPI法、150Ω法の
- 各専用基板を設計・作成
- 両方を一つの基板で評価できるように共用基板を設計・作成
- 評価様でない基板を活用
→目的・期間・予算に応じて評価基板の設計・作成を行う
3.評価基板の種類ごとの参考例
基本的には評価基板の作成を推奨、ただし評価基板がなくても評価が可能な場合もあります。デンケンでは、評価試験だけでなく評価基板の設計、作成にも対応しておりますのでご相談ください。
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