半導体EMC等価性の評価事例の紹介【後編】

前回掲載しました続きになります。

  1. 評価サンプルについて
  2. 評価対象端子について
  3. 評価基板について
  4. 誤動作の定義とその判定基準について
  5. 等価性判断の考え方について

今回は4. と5. の内容を抜粋して掲載させていただきます。

4. 誤動作の定義とその判定基準について(イミュニティ)【JEITA ED-5008 (6.4.2)】

JEITA ED-5008 (6.4.2)では、「所望の動作もしくは特性を維持できなくなった状態を誤動作と定義し、評価を行う」とあります。

誤動作の定義を事前に明確にするために、半導体会社様にはデータシートに基づく判定基準を設定していただきます。

評価サイトが協力できることは、設定した判断基準で『試験周波数範囲』、『試験電力範囲内』で誤動作が確認でき、等価性判定が可能か事前に確認します。

例1)評価の再現性、安定性

事前評価にて、広い周波数範囲で誤動作が確認出来るように、データシート上の仕様より厳しい条件で誤動作の判断基準を設定にします。

ただし、設定した条件が厳しすぎると評価の再現性、安定性が問題になる場合があり、適切に設定することが必要となります。

例2)評価指標の選択

誤動作判定はデータシートの仕様に基づいて評価基準を設定する必要がありますが、複数の仕様が存在する場合、イミュニティ耐性を評価する指標を適切に選択する必要があります。

「適切に」というのは『試験電力範囲内』で『試験周波数範囲』において誤動作の確認ができることが必要です。このために指標は複数必要になる場合もあります。半導体会社様は評価結果を確認して評価指標を再設定が必要になるケースもあります。

つまり、誤動作の判定基準は「適切な評価指標、判定基準を事前評価でしっかり見極め決める必要がある」となります。

5. 等価性の確認、評価レポートについて【JEITA ED-5008 (7)】

性能等価性評価報告書には次の事項を記載します。

  • 製品概要
  • 評価環境の構成
  • 評価基板回路
  • 評価半導体の動作(プログラム)
  • 評価内容、評価結果

JEITA規格には「評価法」は記載していますが、判断方法は記載されていません。

そこでJEITA規格を引用した、JASO D019「自動車用半導体EMC性能等価性試験法」にて、自動車用半導体の等価性判断の考え方がありますので、これに沿って等価性評価結果をまとめます。

最後に

EMC性能等評性評価における主な留意点

  1. 評価サンプルについて
    半導体会社様は、電気的特性がより等価なサンプルを選定する必要があります
  2. 評価対象端子について
    事前評価で等価性評価が可能な端子を半導体会社様に検討いただき、評価を行います
  3. 評価基板について
    基板の特性、部品の影響等を評価の前に当社で確認します
  4. 誤動作と判定基準の定義
    事前に誤動作を確認し、半導体会社様に判定基準を適切に設定いただく
  5. 等価性判断の考え方
    JASO規格に基づき評価結果を提出しますので、半導体会社様は等価性の判断をお願いします。

半導体EMC等価性の評価事例の紹介【前編】はこちらから

フォーラムにて発表しました内容の詳細が知りたい方は、「お問合せ」欄からご連絡ください。

半導体EMC等価性の評価事例の紹介【前編】

今回は、2月18日に開催された「JEITA規格(半導体)オープンフォーラム2021」で弊社が発表した内容を一部抜粋して、解説したいと思います。

JEITA規格(ED-5008)とJASO規格(D019)を参照し、半導体製品におけるEMC性能の等価性を評価しました。

我々が重視した点を5点挙げ示します。

  1. 評価サンプルについて
  2. 評価対象端子について
  3. 評価基板について
  4. 誤動作とその判定基準について
  5. 等価性判断の考え方について

この内、今回は1~3の内容を抜粋して掲載させていただきます。

1. 評価サンプルについて【JEITA ED-5008(4.3)】

比較評価しようとする半導体サンプルは、JEITA ED-5008(4.3)では「その製品における代表的、あるいは同等の工程条件で製造されたサンプル」とあります。

このため評価サンプルは半導体会社が準備されることが必要です。

サンプルは電気的特性が同等な物を選別する必要がありますが、わずかな電気的特性差がEMC性能に影響を及ぼします。

2. 評価対象端子について【JEITA ED-5008(4.4.4)】

端子数が多い半導体製品を評価するには膨大な時間が必要となります。このためJEITA ED-5008(4.4.4)は評価端子を省略する際の考え方が記載されています。

グローバル端子(*1)は『必須』、ローカル端子(*2)は『任意』としたり、同機能の端子が複数有する場合は、代表端子で等価性を評価し、他の端子評価を省略することが可能です。

ただし、省略可能とする根拠は評価報告書に記載しなければいけません。

*1 )グローバル端子…IC端子のうち、外部のI/Fとして使用する端子 

*2 )ローカル端子…IC端子の内基板内の配線に使用する端子

3. 評価基板について【JEITA ED-5008(4.5)】

半導体を評価する際はその評価回路は半導体製品のデータシート等に記載されている推奨動作回路に準じます。ただし、コンデンサ、フィルタ等でEMC性能を改善させている場合は、適切に等価性評価ができない場合もあります。

その場合、半導体製品の動作に影響を与えない範囲でこれらのコンデンサ、フィルタ等の定数を変更あるいは部品を削減する検討も必要です。

評価基板の設計についてはJEITA ED-5008 およびIEC61967-1、IEC62132-1に記載があります(写真1)。また、評価基板に実装する部品、および評価に使用する基板配線の高周波伝導特性を確認する必要があります。

(写真1)

続きの4. と5. の内容は、

▶半導体EMC等価性の評価事例の紹介【後編】をご覧ください。

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