半導体EMCのスタンダードを目指して ~デンケンによるJEITAでの発表
電気機器から発生する電磁波が他の機器に影響を与えないよう、また外部からの電磁波の影響を受けないことを確認する「EMC試験」。従来、車載部品のEMC試験といえば電子機器での試験が一般的でしたが、近年は半導体デバイス単体でのEMC試験「半導体EMC」が注目を集めています。
というのも、半導体にPCN(製品変更通知)やEOL(生産終了)が発生した場合、従来は当該の半導体が搭載された全ての電子機器でEMC試験をやり直す必要がありました。しかし半導体EMC試験であれば、当該の半導体単体で試験を実施し、その結果をその半導体を使用する電子機器の性能に反映させることができるため、試験を大きく効率化できるのです。
このような半導体EMC試験の手法が確立しつつあり、その試験が実施できる数少ない試験所の一つが、愛知県刈谷市にあるデンケン中部センターです。今回は、半導体EMCの黎明期から試験に携わってきたデンケンの岡田氏に、測定手法を確立するまでの道のりを取材しました。
半導体EMCとの出会い ~車載部品メーカーの要請を受けて
デンケンが半導体EMCに取り組み始めたのは2016年頃のことでした。取引先の車載部品メーカーから「これから車に搭載されるICが増えてくるので、対応できる準備をしておいてほしい」と、半導体に関わる実績と知見があったデンケンに声がかかったのがきっかけです。
背景には、ある半導体メーカーの製造拠点変更に伴う課題がありました。新しい工場で製造された製品と旧工場の製品で特性に違いがあるのではないかという疑念が生じ、それを確認するための手法として半導体EMCが必要とされたのです。車載部品メーカーの技術とデンケンの試験技術を組み合わせ、半導体EMCという新たな評価方法に取り組むことになりました。
後に半導体不足から自動車の生産に影響が出る事態が発生した際には、半導体の製造拠点の変更に伴う影響を調べる有効な手法として、半導体EMCの重要性が広く認識されることとなりました。
JEITAフォーラムでの発表
2022年2月18日、「JEITA 規格(半導体)オープンフォーラム2021」がオンラインで開催されました。JEITAは日本の電機・電子分野を代表する企業で構成される業界団体で、フォーラムには50社以上から400名を超える業界のプロフェッショナルが参加しました。このフォーラムでデンケンは「半導体EMC性能等価性の評価事例」について発表する機会を得ました。
半導体EMC性能等価性の評価事例発表資料の表紙
発表では、半導体EMCの測定手法について、以下の5つのポイントを体系的に整理して発表しました。
- 評価サンプルについて
- 評価対象端子について
- 評価基板について
- 誤動作とその判定基準について
- 等価性判断の考え方について
発表の内容について、詳しくはこちらのページでご確認ください。
半導体EMC等価性の評価事例の紹介【前編】
半導体EMC等価性の評価事例の紹介【後編】
測定技術のさらなる向上を目指して
JEITAでの発表から2年ほどで半導体EMC試験の依頼は着実に増加しており、当初は3社程度だった依頼は、現在では10社以上に拡大しています。特に近年は国内OEMが半導体EMC試験済みの製品の納入を推奨する動きもあり、業界での認知も一層進んでいる状況です。
半導体EMCは、車載部品の開発・製造における重要な評価項目として定着しつつあります。デンケンは半導体EMCの国内のパイオニアとして、これからも半導体EMCの普及とさらなる測定技術の向上を目指していきます。
まとめ
この記事では、デンケン中部センターが半導体EMC試験との出会いから、JEITAでの発表を経て業界標準を確立するまでの道のりをご紹介しました。半導体EMC試験は、車載部品のEMC試験を大きく効率化する画期的な手法として注目を集めています。
この記事のまとめ
・半導体EMC試験による車載部品の試験効率化
・半導体EMCとの出会い ~車載部品メーカーの要請を受けて
・JEITAフォーラムでの発表の概要
・半導体EMC試験の普及と今後の展望
デンケン中部センターでは、長年培ってきた半導体技術を活かした高品質な試験サービスと快適な試験環境を提供しています。愛知県でEMC試験場をお探しの場合は、デンケン中部センターにご相談いただければ幸いです。
デンケン中部センター 試験日程表
https://dkn-emc.jp/top
※2回目以降はオンライン予約も可能です
初回予約の方法
電話 0566-95-2170
メール https://www.dkn.co.jp/contact/
教えてくれた人
株式会社デンケン エレクトロニクス事業部
評価解析部 部長 岡田 直樹 2003年から半導体解析業務に携わり、2016年より評価・解析業務の営業を担当。半導体の使用分野が増えている中、独立系メーカーとして評価解析受託メーカー国内シェアNo.1を目指して活動中。
この記事を書いた人
ものづくりライター 新開 潤子 製造業専門で執筆活動を行う「ものづくりライター」。ものづくりについて広く知識を持ち、ものづくり技術を言葉で表現して伝える活動を、愛知県を拠点に展開中。 https://office-kiitos.biz/
電気機器から発生する電磁波が他の機器に影響を与えないよう、また外部からの電磁波の影響を受けないことを確認する「EMC試験」。従来、車載部品のEMC試験といえば電子機器での試験が一般的でしたが、近年は半導体デバイス単体でのEMC試験「半導体EMC」が注目を集めています。
というのも、半導体にPCN(製品変更通知)やEOL(生産終了)が発生した場合、従来は当該の半導体が搭載された全ての電子機器でEMC試験をやり直す必要がありました。しかし半導体EMC試験であれば、当該の半導体単体で試験を実施し、その結果をその半導体を使用する電子機器の性能に反映させることができるため、試験を大きく効率化できるのです。
このような半導体EMC試験の手法が確立しつつあり、その試験が実施できる数少ない試験所の一つが、愛知県刈谷市にあるデンケン中部センターです。今回は、半導体EMCの黎明期から試験に携わってきたデンケンの岡田氏に、測定手法を確立するまでの道のりを取材しました。
半導体EMCとの出会い ~車載部品メーカーの要請を受けて
デンケンが半導体EMCに取り組み始めたのは2016年頃のことでした。取引先の車載部品メーカーから「これから車に搭載されるICが増えてくるので、対応できる準備をしておいてほしい」と、半導体に関わる実績と知見があったデンケンに声がかかったのがきっかけです。
背景には、ある半導体メーカーの製造拠点変更に伴う課題がありました。新しい工場で製造された製品と旧工場の製品で特性に違いがあるのではないかという疑念が生じ、それを確認するための手法として半導体EMCが必要とされたのです。車載部品メーカーの技術とデンケンの試験技術を組み合わせ、半導体EMCという新たな評価方法に取り組むことになりました。
後に半導体不足から自動車の生産に影響が出る事態が発生した際には、半導体の製造拠点の変更に伴う影響を調べる有効な手法として、半導体EMCの重要性が広く認識されることとなりました。
JEITAフォーラムでの発表
2022年2月18日、「JEITA 規格(半導体)オープンフォーラム2021」がオンラインで開催されました。JEITAは日本の電機・電子分野を代表する企業で構成される業界団体で、フォーラムには50社以上から400名を超える業界のプロフェッショナルが参加しました。このフォーラムでデンケンは「半導体EMC性能等価性の評価事例」について発表する機会を得ました。
半導体EMC性能等価性の評価事例発表資料の表紙
発表では、半導体EMCの測定手法について、以下の5つのポイントを体系的に整理して発表しました。
- 評価サンプルについて
- 評価対象端子について
- 評価基板について
- 誤動作とその判定基準について
- 等価性判断の考え方について
発表の内容について、詳しくはこちらのページでご確認ください。
半導体EMC等価性の評価事例の紹介【前編】
半導体EMC等価性の評価事例の紹介【後編】
測定技術のさらなる向上を目指して
JEITAでの発表から2年ほどで半導体EMC試験の依頼は着実に増加しており、当初は3社程度だった依頼は、現在では10社以上に拡大しています。特に近年は国内OEMが半導体EMC試験済みの製品の納入を推奨する動きもあり、業界での認知も一層進んでいる状況です。
半導体EMCは、車載部品の開発・製造における重要な評価項目として定着しつつあります。デンケンは半導体EMCの国内のパイオニアとして、これからも半導体EMCの普及とさらなる測定技術の向上を目指していきます。
まとめ
この記事では、デンケン中部センターが半導体EMC試験との出会いから、JEITAでの発表を経て業界標準を確立するまでの道のりをご紹介しました。半導体EMC試験は、車載部品のEMC試験を大きく効率化する画期的な手法として注目を集めています。
この記事のまとめ ・半導体EMC試験による車載部品の試験効率化 ・半導体EMCとの出会い ~車載部品メーカーの要請を受けて ・JEITAフォーラムでの発表の概要 ・半導体EMC試験の普及と今後の展望 |
デンケン中部センターでは、長年培ってきた半導体技術を活かした高品質な試験サービスと快適な試験環境を提供しています。愛知県でEMC試験場をお探しの場合は、デンケン中部センターにご相談いただければ幸いです。
デンケン中部センター 試験日程表
https://dkn-emc.jp/top
※2回目以降はオンライン予約も可能です
初回予約の方法
電話 0566-95-2170
メール https://www.dkn.co.jp/contact/
教えてくれた人
株式会社デンケン エレクトロニクス事業部 評価解析部 部長 岡田 直樹 2003年から半導体解析業務に携わり、2016年より評価・解析業務の営業を担当。半導体の使用分野が増えている中、独立系メーカーとして評価解析受託メーカー国内シェアNo.1を目指して活動中。 |
この記事を書いた人
ものづくりライター 新開 潤子 製造業専門で執筆活動を行う「ものづくりライター」。ものづくりについて広く知識を持ち、ものづくり技術を言葉で表現して伝える活動を、愛知県を拠点に展開中。 https://office-kiitos.biz/ |